医療事務に向いている人とは?やりがいや必要なスキルも詳しく解説

医療事務に向いている人とは?やりがいや必要なスキルも詳しく解説 アイキャッチ画像 転職

医療事務は、業務を通して地域社会に貢献できる、やりがいのある職業です。

しかし、受付・会計業務・診療報酬の請求など、多岐に渡る業務をこなす必要があるため、自身の適正を把握しておく必要があるでしょう。

本記事では、医療事務に向いている人の特徴や必要なスキル、主な仕事内容などを詳しく解説します。

やりがいや魅力に関しても紹介するので、医療事務の仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

医療事務に向いている人の特徴

医療事務に向いている人

医療事務は、患者応対や事務作業、会計業務などのさまざまな業務を担当します。医療機関を支える役割を担う医療事務に向いているのは、以下のような資質を持つ人です。

  • 患者さんの気持ちに寄り添える思いやり
  • 向上心や責任感
  • 細かな作業が苦にならない几帳面さ

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

患者さんの気持ちに寄り添える思いやり

患者さんの気持ちに寄り添い、思いやりを持って応対できる人は、医療事務に向いています。

医療事務は、医療機関の顔として患者さんと関わる機会が多い仕事です。体調が優れない方や不安を抱えた方など、一人ひとりの異なる状況に合わせた応対が必要です。

丁寧な応対と細やかな心配りができれば、患者さんの心の負担を軽減できる可能性があるでしょう。

向上心や責任感

医療事務の仕事は、パソコン操作・薬の名前・保険制度など覚えることが多く、常に学び続ける必要があります。

特に診療報酬は2年に1度改定され、保険制度も数年で変わる場合があるため、勉強熱心で向上心のある人が向いているでしょう。

また、レセプト作成で不備があると、医療機関が正しい報酬を受け取れないケースもあります。患者さんの個人情報を取り扱う仕事であるため、責任を持って業務を遂行できる資質も求められます。

細かな作業が苦にならない几帳面さ

データ入力やレセプト作成など、細かな作業が得意で几帳面な人も、医療事務に適しています。

なぜなら、些細なミスが医療機関の収入や、患者さんの健康に影響を及ぼす可能性があるからです。

ミスをなくすためには、正確に入力するのはもちろん、二重チェックも必要です。上記の作業が苦にならず、正確で丁寧な事務処理ができる人は、医療事務に向いています。

医療事務に必要なスキル

資格

次に、医療事務に求められる以下の3つのスキルを紹介します。

  • パソコンの基本操作
  • 臨機応な対応力
  • 医療保険制度・医学の知識

以下で、それぞれを詳しく解説します。

パソコンの基本操作

多くの医療機関では、患者さんの情報や診療報酬の入力はレセコンを使用し、レセプトをオンライン請求しています。そのため、医療事務にはパソコンスキルが不可欠です。

なお、レセコンとは「レセプトコンピュータ」の略であり、レセプトを作成するためのソフトウェアを指します。

医療事務には、WordやExcelの基本操作に加えて、タイピングの速さも求められます。なぜなら、タイピングに時間がかかると、患者さんの待ち時間が長くなってしまうからです。

未経験で医療事務として働く場合でも、パソコンスキルがあれば採用される可能性があるので、事前に練習しておくと良いでしょう。

臨機応な対応力

患者さんと接する機会が多い医療事務は、クレームや急患の対応が必要になるため、臨機応変な対応力が必要です。

例えば、急患に対して迅速な対応ができれば、患者さんの病状改善につながる可能性があります。

また患者さんからのクレームに冷静に対処できれば、業務の手を止める時間を短縮でき、患者さんや医療スタッフからの信頼を得られるでしょう。

上記のように、突発的な状況にも動じず冷静に判断し、適切に対応できるスキルは医療事務に不可欠といえます。

医療保険制度・医学の知識

医療保険制度と医学の知識は、医療現場で働く医療事務には最低限必要です。

医療事務は直接医療行為を行わないものの、レセプトの作成や診療内容の入力において、医学の知識があると業務がスムーズに進むでしょう。

また保険証や医療保険の知識も、医療事務にとって欠かせないスキルです。患者さんに説明が必要な場合もあるため、わかりやすく説明できるように十分理解しておきましょう。

医療事務の仕事内容

仕事をする人

医療機関での事務作業全般を担う医療事務の主な仕事内容は、次のとおりです。

  • 受付・会計業務
  • レセプト業務
  • クラーク業務

それぞれの業務を、以下で詳しく紹介します。

受付・会計業務

「医療機関の顔」として、まず来院した患者さんの受付を行います。

具体的には、保険証や医療証を預かる、問診表の記入を依頼するなどです。さらに患者さんの情報をもとに、カルテや診察券を作成します。

診察が終わったら、医療費の計算を行うのも医療事務の仕事です。患者さんが受けた診察内容をもとに医療費を算出し、会計を行います。

レセプト業務

医療機関が保険者に診療報酬を請求するレセプト業務も、医療事務が担当するケースが多い仕事です。

患者さんが健康保険に加入している場合、窓口で支払うのは医療費の一部です。残りの医療費は、保険者が医療機関に支払うため、レセプトを提出して請求する必要があります。

以下は、医療費の総額が9,000円だった場合の具体例です。

<例>
医療費の総額:9,000円
窓口の負担割合:3割

患者さんの窓口負担:2,700円
保険者への請求額:6,300円

上記の保険者への請求額6,300円を、レセプトを提出して請求することになります。

またレセプトの内容に不備がある場合、保険者から正しい報酬を受け取れない、もしくは減額される場合もあります。

そのため、医療事務には医療保険制度や診療報酬に関する正しい知識や、正確な事務処理能力が不可欠です。

クラーク業務

医療機関で医師や看護師の業務をサポートするクラーク業務は、比較的大規模の病院で行われます。

クラーク業務には、外来クラークと病棟クラークの2つがあり、それぞれの担当する業務や仕事の詳細は次のとおりです。

担当業務主な仕事内容
外来クラーク外来患者に関する業務・受付・電話応対
・カルテの入力補助
・検査の案内・準備
・書類・データの整理
・次回の来院予約
病棟クラーク入院患者に関する業務・受付・電話応対
・入院患者・面会者の応対
・入院患者のカルテ作成・管理
・入院患者の病室の準備
・患者さんの食事の管理・記録

なお外来クラークは、外来の総合受付や、診療科目ごとの受付で業務を行うのが一般的です。また病棟クラークは、ナースステーションで入院に関する事務作業を担当します。

医療事務のやりがいや魅力

魅力

医療事務は、医療機関の運営に欠かせない存在であり、やりがいのある仕事です。医療事務の仕事を通して得られるやりがいは、次の2つが挙げられます。

  • 社会貢献の一端を担える
  • 医療に関する知識を深められる

以下で、それぞれの魅力に関して詳しく解説します。

社会貢献の一端を担える

医療事務は医師や看護師のように医療行為を行うことはありませんが、医療機関で働くことで、社会に貢献している実感が得られる場合があります。

例えば、丁寧で親切な窓口応対は、患者さんが安心して受診できるだけでなく、不安軽減にもつながるでしょう。

また正確な診療情報の管理やスピーディーな対応は、医療従事者の業務効率化や、質の高いサービスの提供をサポートできると考えられます。

結果として病院運営の円滑化に寄与し、地域の人々の健康や生活の質の向上るでしょうにも貢献できることが、医療事務のやりがいといえ。

医療に関する知識を深められる

仕事を通じて医療に関する知識が深められるのも、医療事務の魅力の1つです。

例えば、患者さんの診療録の作成を行うと、医療用語や病名などの医学の基礎に触れられるでしょう。

またレセプト作成では、症状に対する適切な治療法や最適な薬などの理解が深められる可能性があります。

さらに医療スタッフや患者さんとのコミュニケーションにより、実践的な知識も習得可能です。上記のような専門的な知識が蓄積されると、業務の質が高まり、自身のスキルアップにつながるでしょう。

医療事務をめざす人におすすめの資格

資格

医療事務に関する国家資格は存在せず、仕事に就く際に必須の資格はありません。

そのため、未経験からでも医療事務として働けますが、資格を取得していると就職や転職の際に有利になる可能性があります。

また、専門学校や通信講座を通じて専門知識を身につけ、医療事務としてのキャリアをスタートするのも1つの方法です。

以下では、医療事務をめざす際におすすめの資格を2つ紹介します。

  • 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)
  • 診療報酬請求事務能力認定試験

それぞれの資格の詳細を、詳しく見ていきましょう。

医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)

医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)は、45年の歴史がある医療事務の民間資格です。

全国最大規模の統一試験を実施しており、合格者は98万人を超えていることから、比較的知名度が高いと言えます。

試験の概要は、次のとおりです。

試験名医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)
受験資格なし
開催日程医科:年12回(毎月)
歯科:年6回(奇数月)
試験方法在宅試験
受験料7,700円((税込))
試験時間実技Ⅰ:50分
学科:60分
実技Ⅱ:70分
主催一般財団法人 日本医療教育財団

上記の資格は、医療機関での窓口対応や診療報酬請求事務に関する能力を証明するもので、合格するとメディカル クラーク®の称号が付与されます。

診療報酬請求事務能力認定試験

診療報酬請求事務能力認定試験は、医療事務の民間資格のなかでもっとも難易度が高いとされています。年2回のみ実施される試験では、診療報酬請求の実技試験がメインとなっています。

試験の概要は、以下のとおりです。

試験名診療報酬請求事務能力認定試験
受験資格なし
開催日程年2回(7月・12月)
試験方法在宅試験
受験料9,000円(税込)
試験時間3時間
主催公益財団法人 日本医療事務協会

上記の試験は、合格率が30%前後となっており、合格には入念な準備と勉強が必要といえるでしょう。

医療事務に将来性はある?

はてなマークの画像

日本の高齢化にともない医療のニーズの増加が見込まれるため、医療事務も需要が高まると予想されます。

AI時代の到来により、医療事務の仕事が減少するのではと不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、受付や会計などが自動化されたとしても、最終的な確認は人間が行うことになります。

また、機械の操作が苦手な方には、医療事務員のサポートが必要でしょう。病気やけがで来院した方の不安を和らげるのも、人間ならではの役割です。

人間にしかできない対応が求められる場面がなくなることはないため、医療事務は今後も医療機関にとって不可欠な存在であり続けると考えられます。

適正を把握し自分に合う方法で医療事務をめざそう

病院

医療事務に向いているのは、患者さんの気持ちに寄り添える思いやりや、学び続ける向上心がある人です。また、責任感や几帳面さ、基本的なパソコンスキルなども求められます。

上記の資質やスキルがある人は、医療事務の適正があると考えられるため、就労を検討すると良いでしょう。

医療事務は、社会に貢献しながら医学の知識を深められるやりがいのある仕事です。日本の高齢化が進むなかで、医療事務の需要は今後増加すると予測されます。

この記事の内容を参考に自身の適正を見極め、自分に合った方法で医療事務をめざしましょう。